2016年9月25日日曜日

【2014 年度・社会学演習(赤川ゼミ)報告書】少子化問題の現在

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『少子化問題の現在』


「はしがき」より


 本報告書は2014 年度、東京大学文学部社会学専修課程で開講している社会学演習(赤川ゼミ)の受講生による調査研究の報告書です。社会学演習(赤川ゼミ)では、「社会問題の経験的研究」を1年間のテーマとして設定しています。特に今年度は、少子化問題を取り上げて、その政策やレトリックの変遷、少子化問題に登場する数字や統計の批判的再検討を行い、それをもとに論文(レポート)を完成することを目標としました。

 具体的な社会問題のテーマとしては、1990 年代以降四半世紀にわたり日本最大の社会問題とされている「少子化」について、統計、言説の両面から、既存の「常識」を問いなおすことを目指しました。第1・第2 章では、少子化問題を論じるときにしばしば言及される女性労働力率や若年男性の非正規雇用率と出生率の関係について、実際にそこで使われている公刊されているデータを再集計することを通して批判的検討を行いました。また第3 章以降では、国会や地方議会で語られる少子化の原因、少子化がもたらす影響(結果)などがどのように変化しているかを調べるために、計量テキスト分析を行うためのソフトKH Coder を用いて集計し、分析を行っています。

 社会学演習(赤川ゼミ)に参加した受講生のなかで、当初から少子化問題に大きな興味を有していた人は必ずしも多くなかったかもしれません。しかし1 年間を通して文献や新聞雑誌記事の収集、検索、さらにはKH Coder による集計、さらには既存の公表された統計をExcel やSPSS などによって再集計、再検討検討するなかで、各人が問題意識を鍛えあげていきました。

 本報告書は、本演習に参加する3 年生が自ら問題意識を立ち上げ、つたないながらも自分なりの視点に基いて論文を描き上げた成果です。論文のアイデアはそれぞれの論文の著者に帰属しますが、論文中の不備や至らない点に関する責は、授業担当者である赤川学が負っています。お忙しいなか、取材にご協力いただいたすべての方々に心からの感謝を申し上げるとともに、今後とも忌憚のないご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。


目次


はしがき (赤川 学)

第1章 女性就業率と出生率の関連――松田茂樹『少子化論』の批判を通じて(吉川 裕嗣)

第2章 若年男非正規雇用と少子化――地域内若年男性貧困率と出生率――(小倉 崚平)

第3章 「子ども手当」のレトリック(服部 恵典)

第4章 少子化言説の変遷――少子化の原因に関する言説を中心に――(田代 将登)

第5章 政府による少子化の原因言説――政策とテキスト分析から――(横田あかね)

第6章 善通寺市の少子化対策(長谷川 真邑)

1年間のあゆみ

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